2025年4月1日、グランドセイコーの商品が楽天市場やYahoo!ショッピングなど、大手オンラインモールから一斉に姿を消しました。
ただ、これについてメーカーから公式な発表は一切なし。中古品や並行品はまだ出品されていますが、正規販売店が出していた新品は完全に引っ込んだ状態です。
楽天市場でのグランドセイコー検索状況です(2025年4月6日時点)。
新品の出品が全て消えています。

時計業界で働く自分としては、「ついに来たか」というのが正直な感想。これは、ただの“偶然”や“在庫切れ”ではなく、メーカー主導で販売ルートを整理し始めた動きと見て間違いないと思います。
もともと、モールでの販売を禁止する方向に動くと業界では噂されていました。
「どこでも買える」状態を終わらせる方向へ
グランドセイコーはここ数年、明らかに“高級ブランド化”を進めているのは業界の誰もが知ってる話。
広告ビジュアルの高級感や、ブティック展開、GS9クラブのような囲い込み施策など、完全にスイスブランドを意識した動きにシフトしています。
その一環として、2021年には量販店での値引き販売をやめさせ、定価販売を徹底。これで販売価格は守られたものの、「楽天でポイント〇〇倍」「〇〇%オフクーポン」みたいな販促が横行するモール上では、まだ“安く見える”問題が残っていました。
今回の撤退で、そこにもしっかりフタをしたということになります。
表立った発表がないのはナゼ?
このモール撤退、メーカーが「楽天で売るな」って直接言ってるかどうかは正直グレー。
なぜなら、それをハッキリやっちゃうと「独占禁止法」に抵触する可能性があるから。
特に問題になるのは、「どのルートで売るか」を制限したり、「定価で売れ」と価格を縛ったりすること。
こういった行為は、公正取引委員会のルール上“不公正な取引方法とされる可能性がある”。
で、一部では「委託販売にしてるからセーフ」みたいな話もあるんだけど、実際にはグランドセイコーはふつうに販売店に“買い取り”で卸してる。これは現場にいる自分の目から見ても確か。
だからこそ、今回のモール撤退もあくまで「表向きは自主的な判断」って体にして、水面下で静かに各店に“お願い”したような形になってると思う。
ブランド価値の維持と公式チャネルへの誘導
モールを撤退する一番の理由は、やっぱりブランドの“安売り感”を消したいから。
グランドセイコーとしては、今後は公式オンラインショップやブティック、百貨店の正規店で、しっかり価値を伝えた上でフルプライスで売りたいっていう狙いがあるはず。
最近は、公式オンラインでも限定モデルや先行販売をやってるし、アフターサポートや保証も充実してる。
つまり、「買う場所は減ったけど、そのぶん体験は良くなる」という方向に舵を切ったわけです。
中古は残ってるけど…?
楽天やYahoo!では、今もグランドセイコーの中古や並行輸入モデルはたくさん出てます。
でも、ここで注意なのは、「新品」と表示されていても、実際には正規ルートじゃない可能性があること。
保証の有無やアフターサービスが違うので、オンラインで本当に正規品を買いたいなら、もう公式か正規店のオンラインストア一択って感じ。
他の国産ブランドはどう動く?
このグランドセイコーの動き、他の国産ブランドにも少なからず影響を与えるはず。
たとえばシチズンやカシオの高価格帯(The CITIZENやMR-Gなど)でも、今後「モールではなく、直営チャネル中心に切り替える」動きが出てくる可能性はある。
特にシチズンもThe CITIZENの限定品やエコ・ドライブ ワン・カンパノラでは定価販売が基本になってきてるし、販路をコントロールする意識は高まってる印象。
とはいえ、モールでの販売を完全にやめるのは相当ハードルが高いので、まずはグランドセイコーが“様子見のお手本”になるかも。
まとめ
- 2025年4月1日、楽天・Yahoo!で新品グランドセイコーが一斉に消えた
- これはメーカー主導のチャネル整理の一環と考えられる
- 発表がないのは、独占禁止法に配慮して“表向きは販売店の自主判断”を装っているから
- 価格統制とブランド価値保護のため、販路のコントロールが本格化している
- 他社も今後、同じような動きに出る可能性あり
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