
「星」と名乗りながら、星空にはいない。
煌びやかな銀河でも、夜空を覆う恒星の群れでもなく、
ただひとつの軌道を孤独に駆ける“彗星”。
その名を冠するアーティスト──星街すいせい。
彼女の代表曲『Stellar Stellar』では、序盤に星空の演出は登場しない。
代わりにあるのは、無機質な都市の灯り、電子ノイズ、孤独なステージ。
まるで“星街すいせい”という存在自体が、宇宙に浮かぶ特異点のようだ。
そんな彼女の世界観を、“時計”というカタチで閉じ込めたら──
私の頭に浮かんだのは、シチズンが誇る芸術的腕時計ブランド「カンパノラ」だった。
カンパノラとは何か

カンパノラは、シチズンが展開するハイエンドウォッチブランド。
だが、単に高級な時計というだけではない。
最大の特徴は、「時を愉しむ」という哲学。
時刻を“確認する”ための道具ではなく、
文字盤の奥に広がる宇宙を眺め、音もなく流れる時間そのものを味わう。
そのために、カンパノラは文字板に漆や螺鈿といった日本の伝統工芸を用い、
さらには月齢表示や星座盤といった“時の詩情”を組み込む。
そこに流れるのは、単なる「時計の美しさ」ではなく、
“時間と宇宙”を感じさせる、まるで音楽のような奥行き。
“Stellar Stellar”が描く孤高の宇宙
『Stellar Stellar』のMVを初めて観た瞬間、私は少し戸惑った。
その名に「星」を冠していながら、序盤には夜空も星も見当たらないからだ。
そこに映るのは、無機質なステージ、淡く瞬くスクリーン、そしてたったひとりで歌い続ける彼女の姿。
華やかさよりも、静かで冷たい孤独が印象に残る。
しかし物語が進むにつれ、ついに星空が現れる。
それはまるで、彼女自身がその宇宙を呼び寄せたかのように──。
“星”とは、ただ夜空に浮かぶ自然物ではない。
「自分で輝きを選び、燃え続ける存在」なのだ。
この曲が描くのは、誰かに見つけられるのを待つ星ではなく、
“誰にも届かなくても、自分のままで輝き続ける存在”。
その在り方に、私は静かに震える。
そして思うのだ。
「この感覚、カンパノラにも通じるものがある」と。
『天球、彗星は夜を跨いで』が表すもの
この曲もまた、星街すいせいという存在を象徴する一曲だ。
“天球”──天の軌道に沿って進む星のように、
“彗星”──尾を引きながら駆け抜ける存在として
そこには、“見上げられる存在”としての星街すいせいが描かれている。
だが同時に、この曲には「どこまでも届かない距離」や、「見ているのに触れられない」ような切なさがある。
ファンとの距離。
アイドルとしての在り方。
そして、“自分自身で在ること”の難しさと誇り。
それは、カンパノラが「万人に売れる時計」ではなく、
“分かる人にだけ届けばいい”という美学を貫く姿勢とも重なる。
なぜ星街すいせいとカンパノラは似ているのか
星街すいせいは、決して誰かの手で“与えられた存在”ではない。
配信者としてゼロから積み重ね、アイドルとして自らをブランディングし、
アーティストとして音楽に命を吹き込む。
その歩みは、ひとつの答えに頼らず、
伝統と革新のあいだで模索を続ける“ものづくり”の精神に通じている。
どれかひとつの枠におさまらない。
配信者、アイドル、アーティスト──そのどれでもあり、どれでもない。
それはまさに、カンパノラというブランドのあり方そのものだ。
工芸と先端機構を融合し、時計というジャンルの中で独自のポジションを切り拓いてきた。
すいせいが“自分だけの音”を探し続けるように、
カンパノラもまた、“自分だけの時”をかたちにしている。
星街すいせいの世界観に合うカンパノラのモデル
星街すいせいの音楽やパフォーマンスは、そのどれもが「自分だけの宇宙」を持っている。
それと同じように、カンパノラの中にも“誰かの宇宙”になり得る時計がある。
ここでは、彼女の世界観に特に通じると感じた3本を紹介したい。
1. コスモサイン / AO4010-18M

夜空そのものを腕に巻いているかのような1本。
文字板には、実際の星座がリアルタイムで動く星座盤が搭載されていて、
見ているだけで“広がる宇宙”を感じられる。
『Stellar Stellar』のMVには、星空は登場しない。
けれど、ひとりでステージに立つその姿は、
静かに、確かに──星のように光っている。
コスモサインの中に広がる星たちもまた、
そんな“誰かの輝き”を、そっと映し出してくれるようだ。
型番:AO4010-18M
価格:330,000円(税込)
ムーブメント:Cal.4398(クオーツ)
主な機能:星座盤・月齢表示・時差修正機能
▶カンパノラ公式サイトで コスモサイン AO4010-18M を見る
2. グランドコンプリケーション 宙鏡 / AH4080-01M

深い紺色の漆文字板に、螺鈿のきらめきが浮かぶ──
まるで夜空の奥に宇宙が広がっているかのような1本。
ムーンフェイズやクロノグラフなど、複雑な機構を詰め込みながらも、全体としては静かで上品。
“たくさんの顔を持ちながら、自分を貫く”星街すいせいの在り方と、どこか重なる。
- 型番:AH4080-01M
- 価格:495,000円(税込)
- ムーブメント:Cal.6772(クオーツ)
- 主な機能:ミニッツリピーター・パーペチュアルカレンダー・ムーンフェイズ・クロノグラフ
▶カンパノラ公式サイトで 宙鏡 AH4080-01M を見る
3. メカニカルコレクション 宙鏡 / NZ0000-58L

ゆっくりと呼吸するように、静かに時を刻む自動巻きの機構。
深い青漆の文字板には、夜空のような奥行きと、
星のようにほのかに輝く螺鈿のきらめき。
誰かに向けてつくられた派手さじゃなく、
ただ“在り続ける”ことで伝わってくるものがある。
星街すいせいが、自分の声で立ち続けるように──
この時計もまた、静かにその存在を刻んでいる。
- 型番:NZ0000-58L
- 価格:1,045,000円(税込)
- ムーブメント:Cal.Y513(自動巻き/スイス製)
- 主な仕様:漆文字板・螺鈿細工・シースルーバック
▶ カンパノラ公式サイトで NZ0000-58L の詳細を見る
“推し”を所有するという体験
アイドルを応援するという行為は、
ときに“見守る”だけでは物足りない。
“何かを持ちたい”“繋がっていたい”という気持ちが生まれる。
カンパノラは、推しグッズではない。
でも、もし腕に巻いたその時計が、
星街すいせいという存在と世界観に繋がっていると感じられるなら、
それはただの時計以上の価値を持つ。
たとえ非公式でも、“自分だけの推し活”としての意味が、
そこにしっかりと宿る。
まとめ
星街すいせいの楽曲が、誰かの夜に寄り添うように、
カンパノラの時計は、誰かの一日をゆっくりと進める。
それは、時間を急がせない。
それは、誰かと比べない。
“自分だけのリズム”を、静かに肯定してくれる存在。
時計が好きな人にも、音楽が好きな人にも、
そして何より、“星街すいせい“の生き方に共鳴したことがある人へ。
あなたの手首にも、きっと“ひとつの宇宙”が似合うはずだ。

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